アイムプロダクト im-product

WEBカタログクリエーション私のスタイルアーカイブプレスギャラリーサポート会社情報トップ
鳥越俊太郎(ニュースの職人)辻口博啓(パティシエ)藤巻幸夫(福助代表取締役社長)宮田秀明(東京大学大学院教授)ニコライ・バーグマン(フラワーデザイナー)前田知洋(東クロースアップマジシャン)金原瑞人(法政大学社会学部教授・翻訳家)矢沢大輔(ブランディング&ビジネスコーチ)
前田知洋 前田 知洋 クロースアップマジシャン

ステージで派手なマジックを演じるマジシャンとは対照的に、
いつもダーク系スーツに黒のネクタイ姿。
ステージにはあがらず、小さなテーブルを囲んで、
観客の目の前でマジックを演じている前田知洋さん。
「クロースアップマジック」の魅力を
日本中に知らしめた前田さんに、
プロマジシャンとしてのこだわりをお伺いします。

まずは、マジックの中でも、
なぜ、クロースアップマジックというジャンルに
前田さんがこだわられるようになったのか、
そのあたりからお話をお聞かせください。


マジシャンがステージに立って、
それを客席から観るステージマジックは、
マジックを「観るもの」というスタンスで行っていると思うんです。
これに対して、クロースアップマジックの場合、
マジックを「体験できる」というスタンスで行っています。
お客さんの持っていた指輪が消えて、どこからか現れるとか、
お客さんの手の中でカードが変わるとか、
お客さんのサインしたカードが、
指を鳴らすと一番上にあがってくるとか・・・。
マジシャンと観客が同じ立ち位置に立って、
観客を巻き込みながらマジックを行うことで、
「体験した」という感覚をより強く感じていただける。
そこにクロースアップマジックならではの面白みがあって、
こだわってきました。
前田知洋 どちらかというと地味な存在であるクロースアップマジックを、
十数年に渡って続けてこられたわけですが、
ここにいたるまでには、かなりご苦労なさったのでは?


パーティー会場などでマジックを行なうときに、主催者の方から
「マジシャンなんだから、ステージの上でやってほしい」と
依頼されることが多くて、やっているジャンルの違いを
理解いただくまでは、けっこう大変でした。
「ステージもできます」といって仕事を引き受けるのも、
一つの手だとは思うんですが、それで、やっつけ仕事をしても、
次から仕事はこないだろうと思っていたので、
クロースアップマジックを理解いただくための
DVDを作って、配ったりしました。
そういう意味で、時間はかかりましたが、
「長期にやっていけるかどうか」という視点で仕事をとらえて、
スタンスを変えずにやってきたことが、
結果的に良かったのではないかと思っています。

前田知洋 前田さんは、世界的に有名なロサンゼルスのマジックキャッスルに
日本人最年少で出演されるなど、
20代の頃から海外でも活躍されてきたわけですが、
日本人として特に日本的なものを意識されている点はありますか?


海外にも素晴らしいマジシャンがたくさんいるにもかかわらず、
わざわざ日本から呼んでいただけるわけですから、
そのあたりは、すごく意識しています。
日本には「ひけらかさない」という文化がありますので、
何か不思議なことを起こしても、
「凄いでしょ」という素振りを見せないようにしていたりだとか、
お客さんの前に出たときに、
必ず新しいトランプの封を切るようにしているのも、
新しいもの、まっさらなものを好む
日本人的なイメージに通じるのではないかと思ってやっています。
技術的にいっても、新しいトランプは滑り過ぎて、
マジックではあまり使われることがなかったので、
海外では特にその点が珍しがられているようです。
いずれにしても、ちょっとわかりにくい
こだわりではあるんですけれども、
人間には、説明されなくても、
何か重要なことを感じ取れるセンサーのようなものがあって、
そのセンサーの働きによって、前田知洋と他のマジシャンとの違いを
感じていただいているのではないかという気がしています。
前田知洋 素人がマジックをやると、
どうしても、ぎこちない動きになってしまいます。
どのように練習すると、プロのような演技ができるようになるのか、
教えていただけますか?


練習をたくさんするということではなくて、
根本的に、人間って嘘をつくのが下手なんですね。
例えば「主人の様子がいつもと違う気がする」といった
ちょっとした態度の違いから、隠し事がバレたりするように、
人間というのは、もともと正直にできていて、
緊張したときには筋肉が緊張するし、
視線も泳ぎますし、声のトーンも上擦ったりもするわけです。
ですから、皆さんがマジックをするときは、
まず「人間は基本的に嘘をつくのが下手なんだ」という
認識に立って、それにどう対処するかを考えたほうが
上達が速いと思います。
よく、右手に持っていたものを左手に渡したふりをして、
実は右手に持っていたりするマジックがあるじゃないですか。
そのときに大切なのは、右手に隠しているものを
見えないように演じるということではなくて、
「いま、ちょっとあやしい動きをした」とか、
「筋肉の動きが不規則だった」とか、
そういうことのほうが、問題になるわけです。
ですから、最初は、モノを渡すふりをするのではなくて、
実際に左手にものを渡してみて、
左手の筋肉がどういう緊張をしてるかを観察する、
ということから始めると、うまくなると思います。
前田知洋 最後に、前田さんのマジックは、
これからどのような方向に向かって進化していくのか、
お聞かせください。


これまでは、マジシャンというと
圧倒的に男性が多かったのですが、
実は女性のほうがマジックに向いていると思っているんです。
たとえば、歴史的にも、不思議なことを起こして
その時代の人々を引っ張ってきたシャーマンも女性ですし、
クレオパトラも卑弥呼も女性ですから、
不思議なものと女性との相性は、もともと非常にいいんですね。
ですから、今後は、女性の方と
コラボレーションしてみたいなと思っています。
それが、女性のマジシャンを育てるということなのか、
女性に向けてのマジックを考えるということなのか、
まだ具体的にはイメージできないんですが、
いずれにしても「女性」がキーワードになる気がしています。